小児てんかん

小児てんかん しょうにてんかん

てんかんの原因を大きく分けると

があります。

母親のお腹の中にいる間、あるいは分娩時に何かの原因で大脳がキズつき、それが原因でけいれんを起こすことが多い

生れつきの脳の奇形(先天性奇形)
代謝異常(先天性代謝異常)
などでも発病する可能性があります。

これらは多くが3歳くらいまでにてんかんを引き起こします。

その他、
感染症や頭部のケガなどが原因で起こることや、
てんかんになりやすい体質を持った子どもが何かのきっかけで起こることもあります。

てんかんの原因と発病年齢(小児〜青年期)

小児てんかんの種類と症状

乳幼児期には、生まれた時の脳の損傷や先天性代謝異常、先天性奇形が原因で起こる症候性てんかんの頻度が 高いと考えられていますが、 小児てんかん全体では原因不明の特発性てんかんが多く、 発病は生後から3 歳までと学童期に起こりやすいことが知られています。

てんかん症候群の分類
特発性
(原因不明)
症候性
(原因あり)
部分

脳の一部分から発作が始まる
特発性部分てんかん
主に小児〜若年期に発病症状の経過はよい

  • 良性ローランドてんかん
  • 良性後頭葉てんかん など
症候性部分てんかん
成人発症に多い
発作が始まる前に何らかの前兆がある
  • 側頭葉てんかん
  • 前頭葉てんかん
  • 頭頂葉てんかん
  • 後頭葉てんかん など
全般

脳の全体が一気に発作を起こす
特発性全般てんかん
欠神発作や強直・間代発作などがみられるが、
手足のマヒや脳の障害はみられない
  • 良性新生児家族性てんかん
  • 良性新生児てんかん
  • 乳児良性ミオクロニーてんかん
  • 小児欠神てんかん
  • 若年欠神てんかん
  • 若年ミオクロニーてんかん
  • 覚醒時大発作てんかん など
症候性全般てんかん
新生児期?乳児期に発病発作回数も多く、
発病前から精神遅滞や神経症状がみられる
  • ウエスト症候群
  • 良性新生児てんかん
  • レノックス・ガストー症候群
  • ミオクロニー失立発作てんかん*
  • ミオクロニー欠神てんかん など*

また、新しいてんかんおよびてんかん症候群として、 常染色体優性夜間前頭葉てんかん(年齢と関連なしに発病)、家族性側頭葉てんかん(年齢と関連なしに発病)、 大田原症候群(早期乳児てんかん性脳症、新生児期に発病)、Dravet(ドラベ)症候群(乳児重症ミオクロニーてんかん、 乳児期に発病)などのてんかんも出てきています。

小児てんかんで合併することの多い病気は?

てんかんには精神的な合併症を伴うことがあります。
また、てんかんに多い性格もあります(『てんかんとは』の「てんかんに特有の合併症」参照)。
通常は、適切な治療をすることで、新たに合併症を起こすことは少ないと考えられています。
ここでは、特に小児に問題となる合併症を説明します。

  1. 発達障害
  2. てんかんと発達障害が合併する場合、多くは知的障害を伴っています。
  3. 重症心身障害
  4. 重度の身体障害と重度の知的障害を併せ持つ重症心身障害はおよそ30〜60%にてんかんを合併し、 特にほぼ寝たきり状態の重度障害者ではおよそ80%まで増加するとされています。
  5. 認知機能障害
  6. 認知機能とは、いろいろな情報を知覚し、判断し、記憶する情報処理の機能のことで、 対人関係を築くこと、計算をすること、計画を立てること、文章を理解すること、ものを考えることなどに関係してきます。
    特に小児期には認知機能の基礎的な機能が急速に発達しますので、 この時期に発作が頻繁に起こると認知機能の発達に影響する可能性があります。
    また、脳の外傷などによりてんかんが発病した場合には、てんかんとは関係なく、脳のキズが認知機能障害を起こすこともあります。
    さらに、抗てんかん薬が眠気などを起こし、昼間に十分な活動ができないことで、それが脳の発達に影響する場合もあります。
    生活の上で気になることがある場合には、早めに主治医に相談して、早めに対処することで、認知機能の発達に悪い影響を与えないことが大切です。

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2020年04月07日 原稿作成:比嘉みちよ

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